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二郎人気の秘密

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食の愉しみには3つの要素がある。

1 食感ないし舌の上の味覚の愉しみ

現代では、美味しい・美味しくないの判別はこの味覚のみを基準として行われることが多い。しかし、長い人類の歴史のなかで食を味覚のみで愉しむなどということはごくごく最近のことにすぎないのではないだろうか?

二郎を好まない者たちは決まって二郎は美味しくない、と言う。この意味するところは、既成の「美味しいとされる味」がしないということである。そうかもしれない。二郎はあまり美味しい味がしない。

二郎を好む者は「ニンニクと醤油の組み合わせ」かつ「アブラと炭水化物の組み合わせ」が旨いのだと分析するかもしれない。

2 満腹中枢の脳内物質の分泌

人類の歴史のなかで最も根源的な食の愉しみはこれではないだろうか。血糖値の上昇による多幸感。飢えから逃れ命をつなぐことができたという安堵感である。

二郎は量の多さによってこれを満足させてくれる。しかし、量の多い食べ物は二郎以外にもたくさんある。

二郎がほかのラーメンと区別される特徴の一つとして、二郎は食用油をつかわないということがある。二郎の大量の「液体アブラ」は消化の良い食用油ではなく、素材の肉汁が全てである。

二郎のカロリーは莫大である。しかし、それを消化するのにも莫大なカロリーを消費する。ジロリアンには白くてふくよかな肥満体は多くない。ジロリアンのアイコンは土気色をした固太りの《ガチゴムブタ(康太ブログ)》である。

そして、上記2つとは異なりやや間接的な印象を与えるかもしれないが、

3 食後ないし翌日の排便の愉しみ

肛門快感である。モリモリと排泄できることは何よりも気持よく開放感がある。運良く二郎を消化できた場合、翌日の排便は一つながりのボリュームのある便を排泄することができる。

それだけではない!二郎の場合、著しい特徴として食後にすぐ腹を下してしまうことがある。これはこれで、噴射する排便はモリモリ排便とは別の肛門快感である。

腸内の酸塩基平衡の調整のための下痢である。塁にたまった走者をドラマティカルに一掃してくれる。われわれは身悶える。当然、病原菌の侵入による病理的な下痢とは本質的に異なる。

つまり、二郎を食べることにより二つの異なる肛門快感のいづれかを得ることができるのである。ラーメン「二」郎というネーミングがこれにかかわるものであるかどうかは定かでない。

現代の多くの者は、食べ物=味覚としか考えない。だから、飲食業の者はだれでも「自分なら二郎より美味しい二郎を作れる」と考える。そうして、二郎インスパイアに挑戦しては消えていった。

二郎の魅力はそんなところにはなかった。ただの大盛り料理で満腹にさせることだけでもなかった。二郎のもたらす肛門快感への期待。これが二郎の人気の秘密である。

おのれが肛門快感を愉しんでいることは、根深い羞恥により無意識のうちに覆い隠されている。意識の上では肛門快感を認めようとしない。しかし、確実に肛門快感を味わっているのである。

人は食というと、食べる口のことだけを想う。しかし、思考の道筋は「口」との対立項としての「肛門」をもワンセットにしてプロセスの全体をとらえねばならない。《弁証法を軽視すれば罰なしには済まされない(F.エンゲルス)》のである。

新しい肛門快感をもたらす食べ物を開発した者だけが二郎を超えることができるであろう。

口だけでなく肛門もということは、唐辛子をふんだんにつかってマーカーしてみるとわかりやすい。蒙古タンメン中本も人気を博している肛門快感である。

わたしは二郎は朝鮮半島の北部にルーツをもつ料理ではないかと睨んでいる。ニンニク・総帥・上納金がキーワードである。二郎のラーメンは白頭山を表象しているという仮説である。

二郎の創業者がラーメン屋をはじめて間もない頃、あるおばあさんに麺のつくりかたを教わったというエピソードがある(二郎インタビュー 齊藤滋久)。このおばあさんが二郎の「オモニ」なのではないだろうか?
# by shimo-kitazawa | 2014-03-10 20:27